■スラップベーシスト名鑑Vol.2
「T.M.Stevens」
〜ヘヴィメタル・ファンク
ドレッド頭の陽気な大男の豪快スラップ〜

 

前書き 〜T.M.Stevensって、有名なスラップベーシストなの?〜

今回は、本連載の2番目となりました。

前回の「ラリー・グラハム」に続き
僕がご紹介したいスラップベーシストは誰か?

…と、考えたのですが、

いろいろと考えた結果、
このベーシストを挙げさせていただきました。

「T.M.Stevens」です。

T.M.Stevens

・・・ここで、
疑問に思った方もいるかもしれません。

「おい、なんで2番目にT.M.Stevensなんだ!」

「第1回のラリー・グラハムの次に挙げるなら、
ルイス・ジョンソンとかスタンリー・クラークとか、
レッチリのフリーとか、マーカス・ミラーとか、
ヴィクター・ウッテンとかマーク・キングとか…
超有名なスラップベーシストが色々いるだろ!!??」

…はい、仰る通りかもしれません。
そう思われた方は「通」な方だと思います。

確かに、上記に挙げたスラップベース奏者は
世界的に有名でありYouTubeで
「Slapping」(スラップベースの英語圏での呼称)
と検索すれば誰か必ずヒットするであろう方々です。

一方、
今回ご紹介する「T.M.Stevens」氏は
(もちろん有名ではありますが、)
名だたる有名スラッパーを差し置いても
「めちゃくちゃに有名」なのかというと、
なぜかそうでないように(個人的には)思います。

しかし

僕はあえて連載第2回に
このT.M.Stevensを挙げさせていただいたのには
理由があります。

私(ベーシスト淳)自身が、
もっとも影響を受けた
スラップ・ベーシストの筆頭であるため

何を隠そう、僕(ベーシスト淳)は
T.M.Stevensにもっとも影響を受けて
スラップベースを練習してきた過去があります。

・彼のような豪快なスラップベースを弾き、
・彼のように陽気でファンキーで、
・彼のように音楽を思い切り楽しんでいる、

そんなベースマンになりたいと
心から思いながらベースを弾いてきました。

ですので、僕のメインのベースの
メーカーは「Warwick」というメーカーですが
Warwickのベースを好んで使用している理由は
単純に「T.M.StevensがWarwickのベースを
よく使っているから」という理由に過ぎません。

(※余談
T.M.Stevensは「Warwickのテーマ曲」を作っており、
その曲がWarwickの公式サイトなどにも載っていました。)

せっかく連載を書くからには、
情熱を込めた特集をお届けしたい。
だから2回目に、彼を挙げました

本連載「スラップベーシスト名鑑」は
スラップ奏者についての幅広い情報を
お届けしたいと思ったことが発端ですが、

僕からの拙い文章をあなたにお届けするからには、
なまじ勉強不足なテーマでお届けするよりも
いっそのこと、思い切り情熱を込めた話題で
お届けした方が意味があるのではないかと考えました。

そこで、本連載2回目には
僕のもっとも好きなスラップベーシストについて
お話をしようと思った次第です。

(ここから本編)
「ヘヴィメタル・ファンク」
+スラップベース

本題に入りたいと思います。

僕(ベーシスト淳)が高校生時代、
まだスラップベース奏法というものを
始めたばかりの頃でした。

ベースマガジンでたまたま見かけた
ドレッド頭で、カラフルでド派手なベースを抱えた
アフリカ系の大男。

それが、T.M.Stevensでした。

記事には「ヘヴィメタル・ファンク!」
と大きく書かれていたと思います。

それを見て驚いた僕は、
「とりあえず音源を聴いてみよう」と思い、
ホームページを見てみました。

(※当時、YouTubeという媒体も
なかったOR知らなかった上、
ネットで動画を見るなどといったことは
データ通信量が大きすぎる時代でした)

幸いなことに当時、彼のホームページには
(英語のサイトしか無かったのですが)
Web視聴用の音源が置いてあり、
それを聴いてみた僕は再び驚きました。

・バキバキのスラップ音
・ド派手で重たい、ヘヴィなサウンド
・それでいてファンキー
・ベーシスト自身がソウルフルに歌っている。

(しかも、合間に「オゥッ!」「アオッ!」など
合いの手のような掛け声が入っており、とても賑やか。笑)

それを聴いた僕は

「なんだこの人は!?」

と感じ、
すかさずCDを探しにいった覚えがあります。

(その後、教則DVDも買いました。)

思いきりベースを低く持ち、
フリー・スタイルのスラップで
豪快に腕を振って高速で弾く
パーカッション的なフレーズ

T.M.Stevensのスラップ・スタイルは
僕がDVDなどで「フリー・スタイル」と呼んでいるような、
親指を下に向けて豪快に叩くタイプの奏法です。

もともとそのスタイルを一般に広く認知させたのは
レッチリ(Red Hot Chili Peppers)のベーシストの
「フリー」だと思いますが、

それ以上に腕を「だらーん」と下に伸ばして
腰よりもかなり低い位置でスラップを叩くのが
T.M.Stevensのスタイルのように見受けます。

自身のDVDなどで言っていましたが
「これが自然体で僕にとって弾きやすいんだ」
と言っていたと思います。

また、プレイするフレーズについても、
フリー・スタイルのスラップ奏法の
強みやメリットを思いきり活用したような
フレーズが多く、

多くの場合は豪快にサム&プルを連打したり
ゴーストノートを叩いて織り交ぜて
複雑でファンキーなリズムやビートを
作り上げているものが多いです。

「流麗で美しいメロディアスなスラップ…」
…というよりも、

「パーカッションのような打撃音で
 ビートそのものを作り出す!」
のような表現の方がふさわしいかと思います。

おすすめのフレーズ・曲

百聞は一見に如かずということで、
具体的なフレーズや曲をご紹介したいと思います。

▼T.M.Stevens自身のレクチャー動画

車に乗って登場した本人が、スタジオに入っていき
ジャムセッションをするところから始まります。
1:13あたりから、一人でソロ・ベースのような
フレーズを弾きながら喋り始めます。

▼Git Funked

T.Mの独特な「手グセ」(常套フレーズ)をふんだんに使ったフレーズ。
彼がノリのままに単独でスラップを弾くとき、
ほとんどの場合、この曲で使っているような手グセフレーズを
弾いているように見受けられます。

▼Supernatural

3:45あたりからのアウトロで、
ヘヴィかつファンキーなスラップを弾き始めます。
サムピングとプルとゴーストノートだけで
フレーズを組み立てており少ない種類の音程しか使っていませんが、
「リズムの組み立て次第で、少ない音数でも
踊れるスラップフレーズは作れるのか」と感心した演奏でした。

▼T.M.Stevensのプレイヤー紹介
(Warwickのテーマ曲〜開始)

冒頭は、T.M.Stevens自身が作ったらしい「Warwick」のテーマ曲です。
豪快に「Warwick」と叫んでいます。
その後、彼のプレイヤー紹介インタビュー映像となっています。

【あとがき】

さて、今回の特集はいかがだったでしょうか。

僕自身の好みを前面に押し出した特集になりましたが、
「彼のプレイスタイルには(自分は)合わない」という方も
いるかもしれません。

しかし、
僕は彼の「えらく楽しそうにベースを弾く姿」を見て
とても触発された覚えがあり、
ベースと音楽を思いきり楽しんでいる様子が
全身から表現されている点には万人に紹介したいと思う次第です。

目指すプレイスタイルは違う方も多いかもしれませんが、
このように「音楽とベースを、思いきり楽しむ」という生き方は
みなさんとずっと共有したいと思いっております。

今後もおすすめのスラップベーシストを
紹介していきますので、楽しみにしてただければと思います!

ご意見・ご感想ありましたら、コメント欄にお書きください。

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ベーシスト淳(スタジオ淳チャンネル)

ベーシスト淳(スタジオ淳チャンネル)

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