■スラップベーシスト名鑑Vol.4「フリー」
〜肉体派スラップベースの開拓者

今回で「スラップベーシスト名鑑」
第4回となりました。

いよいよ…といった所ですが、
ご紹介させていただきます。

「フリー」(「Red Hot Chili Peppers」のベーシスト)

です。

おすすめのフレーズ・曲

それでは、ぜひ
フリー(Red Hot Chili Peppers)の
スラップベースおすすめ曲を
ご紹介したいと思います。

▼Stone Cold Bush

1:46あたりからのスラップ・ソロは、
スラップベース奏法を嗜む人に聞くと
多くの人が「これを目指して練習した」
「このソロはコピーを頑張った」などと
答えるフレーズです。

▼ドラマーとのセッション映像

レッチリのドラマー「チャド・スミス」との
セッション演奏です。
こちらは最初からアドリブ・スラップ前回です。
手首を素早く回転させながら
サム・プルを繰り返す小気味好いスラップで
たたみかけるように弾き倒しています。

▼Higher Ground

スティービー・ワンダーの同曲を
レッチリがミクスチャー風にアレンジして
カバー演奏してしまった曲。
スラップベーシストの間では逆にこの
レッチリバージョンの「Higher Ground」
の方が有名かもしれないくらいです。

スラップ初心者にも練習しやすく、
シンプルで飽きのこないフレーズです。

▼Can’t Stop

スラップベース演奏は1:27くらいから始まります。
コード進行に合わせて
スラップベースも動き、
弾きごたえがあり耳に残るフレーズです。
こちらも練習に最適です。

▼Nobody Weird Like Me

こちらが僕が受験生時代の夏に
毎日15分と決めてひたすら練習した曲です。
肉体派の根性フレーズと言えます。(笑)
このフレーズを練習すれば、ある意味
根性と体力が身につくかもしれません。

フリー・スタイル(※)のスラップ奏法の開拓者。
スラップベース界にパンク精神をもたらし
のちのスラッパーに大きな影響を与える

【補足】
※「フリー・スタイル」とは、
DVD「一番やさしいスラップ奏法」でも
説明していますが、
親指を下に向けて、腕を伸ばし気味に
ベースを低い位置に構えて
ボールを跳ね返らせるように叩くスタイルの
スラップ奏法の呼称です。

※正式な呼称ではなく、通称です。
(「フリースタイル」という呼称が
世界中で通じる名詞というわけではありません)

このスラップ奏法については、
DVDの中でもお話をしています。

 

そして、今回は、いよいよ
その「フリー」の登場です。

【フリー(Flea)】
バンド「Red Hot Chili Peppers」で
一躍有名となった名ベーシスト。

バンドの音楽性は、
ファンクなどのブラックミュージックに
パンクやロックを融合させた
「ミクスチャー」と呼ばれる音楽から
始まりました。

前半期は、
若さや勢いの溢れる
アグレッシブなプレイとパフォーマンスで
バンド全体が野生児のように
暴れまわる破天荒な男達、
ファンキーで、そしてパンク的。
そんな豪快で痛快な音楽性のあるバンドでした。

(現在は、メロディ性なども音楽性に加わり
さらに多くの人に受け入れられる大御所バンドとなりました。)

flea2

初期から既にフリーがやっているのが、
フリー・スタイルのスラップ奏法。

僕のDVDでも話だけはしていますが、
まだ実際の演奏を見たことが無い方は、
ぜひ見てみてください。

▼文末におすすめ映像があります。

裸のベース男が、
文字通り「跳び回りながら」
ベースの弦をバシバシと叩き
暴れまわっている姿…(笑)

当時、スラップ奏法としては
あまりにパンクなスタイルだったので
「なんだ、このスラップは!?」
と、皆が驚いたのでしょう。

(もともと「フリー」という呼称は、
flea(ノミ)を意味しています。
彼が演奏中に跳ね回る姿が、
「まるでflea(ノミ)が跳ね回るそれのようだ」
ということで、フリーという呼び名になったそうです。)

シンプルかつ、インパクトあるスラップ。
リズムで組み立てる反復フレーズ(リフ)

フリーの演奏するスラップフレーズは、
オクターブ奏法や7th(セブンス)の音*
をよく取り入れた、シンプルで印象深い
反復フレーズ(リフ)が中心です。

つまり、あまり多くの種類の音を使っている
わけではありません。
でも、インパクトがあって印象に残る
かっこいいフレーズが多いのは何故でしょうか。

僕の考えるところでは、
リズム(ビート)が鍵を握っています。

彼自身の教則DVDでも
その秘訣の多くを見せてくれますが、

フリー・スタイルで構えることで
腕が身軽になり、サム&プルの回転を
とても素早くできること。

ゴーストノートを多用することで
リズムに立体感が生まれ、
様々なパーカッションを
一人で叩いているかのような
多彩なフレーズが生み出される。

+抜群のリズム感。

そういった秘訣から、
彼のシンプルかつインパクトのある
フレーズが生み出されているのでは
ないかと思います。

【脚注】
*7th(セブンス)とは…

(簡単にいうと、ルートの音から
「ドレミファソラシ…」と弾いた
7番目の音(シ)を7thと呼びます。
単純に7thといった場合、
7番目の「シ」の音を指すか、或いは今回の場合は
「シ」を半音下げた「シ♭」を指します。)

近年、ポピュラーな
スラップ上達法
=「レッチリをコピーする」

最近のスラップベース奏者に
「どんな曲をコピーして練習しましたか?」
と聞くと、

・「レッチリのHigher groundを
練習しまくった」

・「レッチリのCan’t Stopを練習した」
などなど、

「Red Hot Chili Peppers(略称レッチリ)」
の演奏曲をコピーして練習した、
という人が非常に多いです。

…というのも
レッチリのフリーが作るフレーズは、
スラップ奏法を練習する上で
初期段階のレベルアップには丁度いい
フレーズがたくさんあるからです。

(おすすめフレーズは後述します)

前述の通り、

・シンプルかつインパクトがある
・反復していて楽しい
・音の種類が少なく、リズムで魅せるタイプ

そんなフレーズがたくさんあるため、
練習するための課題曲としては
とても楽しんで取り組めるものになるでしょう。

全身タイツ姿。変人のような
スラップベーシストに出会う

高校生でベースを始めた僕は、
スラップベース奏法を始めてから
ベースマガジンを読んでいると、

「フリー」というベーシストが
よく特集されていることに気づきました。

また、スラップ関係の本などを読むと、
代表的なスラップベーシストの中に
必ずと言っていいほど「フリー」の名前が
挙がってくるのです。

見る記事のほとんどには
「パンク・ミクスチャー・スタイル
(僕が「フリースタイル」と呼んでいる演奏スタイル)
のスラップベース奏法を広めた第一人者。」
のような説明が加えられていました。

「へぇ〜、そんな人がいるんだな」

と思った僕は、とりあえずCDを聴いて、
ライブ映像を見てみることに。

当時、アルバム「By the way」などを
発売した頃だったかと思いますが、

ホネホネの骸骨のような柄のついた
全身タイツを身にまとい、
ステージで暴れまわっている
フリーの写真を見て、興味を惹かれました。

「なんだ、この変人のような動きをする人は!?」

「スラップのフレーズが熱い!」

そう衝撃を受けた記憶があります。(笑)

それからというもの、
「レッチリのフレーズを練習しよう」
と決意した僕は、

フリー関連の特集記事がある
ベースマガジンのバックナンバーを
取り寄せて読み漁ったり、

ライブDVDを買って
穴があくほどに見返したり、

レッチリのバンドスコアを買って
スラップベースの部分を練習したりと、

様々なフレーズをコピーして練習しました。

「ベース禁止令」
を自分に課した受験生時代の淳。
それでも、1日15分はレッチリを弾いた

高校3年生の夏になると、
大学受験勉強のために
周りのバンド仲間は「楽器を封印する」
と言い始めました。

理由は、勉強に集中するためです。
家で楽器を練習していると
そのまま何時間も経ってしまい、
勉強に身が入らないことを避けるため
皆、楽器を封印していたのです。

(ギターの弦を外してしまうなど
「物理的に封印」する仲間もいました)

僕自身も、
周りのバンド仲間につられて、
自分自身に「ベース禁止令」
を課したのですが…

禁止できませんでした。(笑)

…ベースを始めて間もなく、
スラップベースの楽しさに目覚めてしまい
まだまだ弾きたい盛りの時期。

弾かないことの
フラストレーションの方が問題です。

「練習したくて仕方がない…」

そこで当時の僕は、考えました。

「1日15分だけ、このフレーズを弾こう
メトロノームに合わせて、
毎日少しずつテンポアップしていく。
少しずつ上達していく自分を
実感できるし、この夏が終われば
このフレーズが弾けるようになっているじゃないか!」

そう思って、
毎日、本当に15分だけに区切って、
メトロノームに合わせて
ひたすら1つの曲のスラップ部分だけを
反復練習していました。

テンポ(BPM)をすごく落として始め、
日に日に1ずつ増やして、
徐々に、ゆっくりとテンポを上げて
弾けるようになるまで。

「そこまで弾きたいフレーズって、
いったいどんなフレーズなんだよ!?」

と不思議に思われるかもしれませんが、

(参考までに)

「Nobody wired like me」
という高速フレーズと、

「Can’t Stop」
というかっこいいリフです。

当時の僕は、
よほどレッチリの曲を弾くのに
ハマっていたという事だと思います。

考えてみると、
そのように地道な基礎練習を継続したことが
現在の自分の血肉になっているかも
しれませんね。

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【あとがき】

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第4回、いかがだったでしょうか。

フリー(及びレッチリ)に関しては、
「練習しやすいフレーズが多い」という理由もあり
学生時代に最も多くコピーして練習した
スラップ・ベーシストです。

また、世界中でも多くのスラップ練習者が
練習しているため、譜面などの情報や
カバー演奏動画などもYouTubeに多く
アップロードされており、
研究しやすい題材かと考えています。

ぜひ、これを機会に
日々の練習の目標や練習フレーズに
取り入れてみてください。

ご意見・ご感想ありましたら、コメント欄にお書きください。

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