■スラップベーシスト名鑑Vol.9
「フィールディー(KORN)」~低音すぎる!?超ドンシャリ打撃スラップ
今回、「スラップベーシスト名鑑」第9回目のお届けです。
本日のスラップベーシストはこの方!
フィールディー(Fieldy)(バンド「KORN」)
のご紹介です。
おすすめの曲&フレーズ集
ここからは、おすすめの曲やフレーズなどをご紹介します。
(世界的に有名な曲から、個人的な好みも含めてご紹介しています。
▼Got The Life
個人的にベースラインが好きな曲です。スラップベースが目立ちます。
0:51から始まるスラップ奏法での
打楽器のような独特のスラップ・フレーズは、
繰り返し聴きたくなり「クセ」になります。
▼本人の教則ビデオ(Got the Life)
上記で挙げた曲「Got the Life」について、
本人が演奏方法を解説している貴重な映像です。
英語で言っているので完全にはわかりませんが、
なんとなく雰囲気で「こうやって弾いてるのか」という
様子が詳細にわかる貴重な参考資料になりますね。
3:29からの映像では、
(1)ほかの指で弦をストロークをし、
(2)親指でサムピングする
という高速連続技について解説しています。
▼Love & Meth
こちらも個人的にベースが好きな曲です。
0:38から始まるスラップベース・リフが摩訶不思議です。
ゴーストノートの打撃音をうまく活用して
「ペキペキ」という音と重低音を組みわせ、
複雑なリズムを作り出しています。
▼Right Now
バンドの有名曲。冒頭5秒ほどから始まる
凶暴な重低音のベース・リフが、
彼のベースの奏でる音のキャラクターをよく表しています。
▼ベース&ドラムのソロ
KORNのベース&ドラムのソロです。
0:25周辺から始まるフィールディーの
怒涛の「カチカチ」スラップ連打が始まります。
0:35からDJのスクラッチのような演奏も興味深いですね。
ヘヴィロックバンド「KORN」でスラップベースを。低すぎる重低音ベース、そしてベースの構え方も低い!超ドンシャリ・サウンドから繰り出す独特の打楽器
ヘヴィロック(ミクスチャー寄り)のジャンルで
大御所バンドである「KORN」のベーシストである
フィールディー(Fieldy)のご紹介です。
この人も、
スラップベース入門本などには
代表的なスラップベーシストとして
ほぼ確実に紹介されているようなプレイヤーです。
その理由は、
・独特のスラップ・スタイル
・独特なベースの音作り
・スラップの(当時)新しい方向性を示した
このような理由があるでしょう。
ベース本体を極めて低い位置に構えるスラップ・スタイル
フィールディーについては
是非、演奏している映像や写真などを
見ていただきたいと思うのですが、
ベース本体を構える位置が
非常に「低い」です。
(参考までに、映像を引用します。)
(0:25からベースソロ)
ベースのストラップをめいっぱい長くし、
腕や肘の関節は伸ばし、
親指を弦に垂直気味にヒットするような、
豪快なサムピング方法を取っています。
**補足**
僕(ベーシスト淳)のスラップ入門DVD
「一番やさしいスラップ奏法」でも
解説していますが、
1.ベースを腰より高い位置で構えてスラップする
「振り抜きスタイル」と
2.ベースを腰より低い位置で構えてスラップする
「フリー・スタイル」
という2種類のスタイルに大別しました。
今回ご紹介するベーシストの
フィールディーは、間違いなく後者のタイプに
分けられるでしょう。
5弦ベースをさらにダウン・チューニングし「超ドンシャリ」な音作りをした独特の低音サウンド
フィールディーの属するバンド「KORN」は、
重低音を響かせるヘヴィなバンドですので
ギターもベースも多弦のものを使用します。
(7弦ギターは、通常の6弦ギターよりも
低い音の出る弦を一本追加するもの。
5弦ベースも、通常の4弦ベースよりも
低い音の出る弦を一本追加するものです)
そして、通常でも低い音が出る5弦ベースを、
さらにダウン・チューニングして
より低い音程が出るようにしているようです。
また、フィールディーのベース音は
いわゆる「ドンシャリ」なサウンドであるため、
(「ドンシャリ」…
低音域と高音域が際立つように
アンプやプリアンプその他で設定し、
中音域(ミドル)はあまり強調しない音作りを指します。
図にすると、このようなバランスです。)
低音域 ■■■■■■
中音域 ■■
高音域 ■■■■■■
重低音と、スラップの高音域の打撃音が際立ち、
独特の「カチカチ」したサウンドが特徴となっています。
ベースをぶら下げて「シバく!」という斬新なスラップの方向性を示した
僕(ベーシスト淳)は、
ベースを始めたばかりの高校生時代から
スラップベース奏法に関連する教材や雑誌特集などを
研究してきましたが、
そんな特集記事には、
いつも彼(フィールディー)が掲載されていました。
「なぜ、彼がいつも注目されるのだろう?」
と考えてみると、
彼のスラップ奏法のスタイルが
非常に特異的だからだと思われます。
「親指でベースを叩く」というスラップ奏法を
ラリー・グラハムが始めて(とされている)
スラップ奏法が様々なベーシストに伝播し、
「ベースを低く構えてスラップする」
という演奏スタイルをレッチリのFleaが布教し、
そこからさらに
「もっと低くベースを構える!」
「重低音を極めて強調する!」
という方向性を示したプレイヤーが、
フィールディー。
…このように、
時代や音楽シーンの流れに沿って
新しいスラップベースのスタイルが
細分化していったと考えられます。
フィールディーは、その中の代表的な
プレイヤーであるゆえ、常に注目されているのではないでしょうか。
(補足
フィールディー自身、インタビューで
「レッチリのFleaを見て、こんな風に弾きたいと思った」
といったようなことを語っています。
【あとがき】
第9回、いかがだったでしょうか。
フィールディーの演奏スタイルは、
「すげぇ!…でも、マネできない。(苦笑)」
と、いつも感じています。
個人的にはかっこいいと思うんですが、
自分のやっているバンドの音楽性として
スタイルが合わない人も多いかもしれません。
(例えば、バラードを弾いているのに
フィールディーのようにスラップしていたら
びっくりしてしまいますね。(笑))
しかし、僕としては
彼の「演奏スタイル」はマネできませんが、
その「心意気」はマネしたい、と常々思います。
それは、
スラップ奏法のそれまでの固定概念にとらわれず、
自身のバンドにとって最適なサウンドと
パフォーマンスを得るために、
新しい独自のスラップ・スタイルを生み出したこと。
(もしかすると本人は、
「新しいスラップ」などという自覚は持っておらず、
「単純に自分の弾きたいスタイルで弾いていたらそうなった」、と答えるかもしれませんが)
それでも、
新しいことをすれば周りの人間からは
「こんなのスラップじゃない」
「とんでもないベースの音作りだ」
という反感を少なからず持たれたことも
あるかもしれませんね。
それでも、独自のスタイルを貫いて
確固たるポジションを確立したその姿勢には
見習うべきところがあると思います。
僕自身も、(彼のように極めて独特な
スタイルではなくていいかもしれませんが)
「自分のスラップのスタイル」というものを
突き詰めていきたいと思う次第です。
ご意見・ご感想ありましたら、コメント欄にお書きください。<
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