■スラップベーシスト名鑑Vol.3 「ルイス・ジョンソン」 〜名曲職人の豪腕スラッパー
今回、連載第3回でご紹介するスラップベーシストは
「ルイス・ジョンソン」です。
実は2015年5月に、惜しまれながら亡くなられました。
(ご冥福をお祈りします)
彼はバンド「クインシーン・ジョーンズ」で大活躍し
邦題「愛のコリーダ」(英語Ai no Corrida)のカバーなどが
ディスコ音楽として大ヒットし大変有名となりました。
ライブ演奏で弾いている強烈なスラップ・ソロは
とてもインパクトがあるので、ぜひ聴いてみて下さい。
(曲の視聴リンクは後で掲載します)
またマイケル・ジャクソンのアルバムなどにも
参加しており、ベースが特徴的な曲としては
「ビリー・ジーン(マイケルジャクソン)」
のベースラインを弾いたり、
僕の個人的に好きな曲でもある
「Get On The Floor(マイケルジャクソン)」
の作曲を手掛けたりと、名ヒット曲メーカーでもあります。
その特徴は、
強烈でインパクトのあるスラップ奏法で
「攻め」を担いつつも、
曲をしっかりと支え歌を活かす
グッド・ベースラインを弾くという
「守り」も十二分に押さえており、
まさに攻守両方を兼ね備えた
スラップ・ベース・ヒーローと言えるのではないでしょうか。
おすすめのフレーズ・曲
それでは、ぜひルイス・ジョンソンの
ベース演奏をご紹介したいと思います。
▼ルイス・ジョンソン自身のレクチャー動画
冒頭からいきなりアクセル全開でスラップ演奏しています。
このような即興フレーズの中から、
彼特有の「手グセ」フレーズを垣間見ることができます。
▼The Brothers Johnson 「Stomp!」
2:21あたりからのスラップベース・ソロは圧巻のパフォーマンス。
バキバキの打楽器的なサウンドで、
まるでドラムのソロ演奏のように魅せられます。
▼クインシーン・ジョーンズ」邦題「愛のコリーダ」(英語Ai no Corrida)
3:34あたりからのスラップベース・ソロが強烈。
ライブ盤ゆえの極太の荒々しいベース音は
素早いスラップ奏法といえども「ボトム感」を
どっしりと維持しながら鳴らすサウンドは流石の一言です。
▼Michael Jackson「Get on the Floor 」
僕が個人的に好きな曲です。
ルイス・ジョンソンが手掛けています。
1つのスラップ・フレーズをひたすら繰り返す
シンプルな構成が中心なのですが、
何度聴いても飽きることがないフレーズは
まさに名スラップ・フレーズと言えるでしょう。
ミュージックマン・スティングレイの
ベースを存分に震わせた
打楽器的な爆裂スラップベース
彼のスラップ奏法の特徴は、
何といってもミュージックマン・スティングレイのベース
(本DVD「一番やさしいスラップ奏法」の表紙は
これをモデルにしたベースのグラフィックですね)
の特徴をフルに活かした、
アタック感の強い打楽器的なスラップ奏法です。
映像で見ていただくとより分かるのですが、
手が、でかい!(笑)
鉈(なた)のような親指で
振り下ろすようにバシバシと弦を叩き、
プルの指も大迫力です。
この独特のアタック感のあるスラップ奏法は、
もちろんベース本体のサウンドの特徴
(アタック感のあるスラップ音、
かつコシのある粘りけあるサウンドが出やすい)
もあるかと思いますが、
フレーズの随所に
ゴーストノートを効果的に織り交ぜていることが
より、その特徴をブーストしているのでは
ないかと考えています。
また、ただゴーストを叩くだけでなく、
あの鉈(なた)のような強烈な指で
繰り出すサムとプルですから、
一撃一撃が骨にも響く低音を生み出しているのでしょう。
「手グセ」になるほどコピーした
僕(ベーシスト淳)が
ルイス・ジョンソンというベーシストを知ったのは
高校時代、スラップ奏法を始めてしばらくしてからでした。
「何か、”手グセ”になるフレーズが欲しい!」
と探しまわっていた時でした。
(※「手グセ」とは…
簡単にいうと、「身体に染み付いたフレーズ」です。
多くは短い単発のフレーズを意味することが多く、
アドリブ演奏や、とっさにフレーズを繰り出す時に
とても重宝する「鉄板のネタ」とも言えるでしょう。
また、「手グセ」を覚えるには何度も
反復トレーニングをする必要があり、
その練習の過程で、基礎的なフィンガーリングや
手の使い方なども身についていきます。
「これだ」と言える自分に適した手グセフレーズを
獲得していくことは、初心者スラッパーにとって
とても有効な上達の手段になるでしょう。)
当時、
YouTubeなどの動画メディアも無かったので、
高校生だった僕は、スラップに関連する本を
一生懸命立ち読みしたり、
ベース・マガジンのスラップ特集号を買って
穴が空くほど読んだり、
またはインターネットで検索し回ったり、
そうやって様々なフレーズを収集することが
日課となっていました。
そんなある日、
いつものようにインターネットを徘徊していると…
とあるサイトで見つけたのが
「ルイス・ジョンソンの手グセ風」
のフレーズだったのです。
当時、
ネット上でスラップベースの音源付きで
フレーズを公開しているサイトなどは
ほとんどなく、大変珍しいサイトでした。
しかも当時のネット環境では
画像を掲載することもデータ量が大きいので、
TAB譜なども、
1弦————-
2弦——–2—
3弦————-
4弦—-0——
↑こんな風に、文字情報で表現されていた時代なのです。(笑)
非常に貴重なサイトだったと記憶しています。
とにかくそのフレーズを知って
思いきり毎日反復練習をし、
トレーニングを重ねたことが
現在の僕のスラップ・スタイルの一部になっていると言えます。
(ルイス・ジョンソン風のフレーズについては、
また別の機会でお話をしたいと思います。)
【あとがき】
第3回、いかがだったでしょうか。
スラップ奏法の奏者にも色々ありますが、
ルイス・ジョンソンのように
強烈なパフォーマンスで「攻め」の要素を持ちながらも、
グッド・フレーズを弾いて曲を支え歌を活かすという
「守り」の要素も備えているというプレイヤーは
僕も目指したいと思う次第です。
また、
いかに「パーカッション的なスラップ奏法」といえど、
ボトムを震わせる低音をどっしりと維持しながら
両立させるようなサウンドは、
ある意味理想的だなと思い、
毎回ルイス・ジョンソンの音源を聴くたびに
思い返すことが多いです。
最後に
僕自身もルイス・ジョンソン風の
手グセフレーズを一生懸命練習して、
現在の自分のスラップ奏法の一部を
作ってまいりました。
(もちろん、「マスターした」とは
思っておらず、心の中のルイス・ジョンソン像は
常に掲げて練習あるのみと思いますが)
機会がありましたら、
ルイス・ジョンソン風スラップベースについて
解説などもしたいと思いますので、
リクエストがあれば記載いただけますと幸いです。
※ご意見・ご感想ありましたら、コメント欄にお書きください。
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