「スラップベーシスト名鑑」第12回目のお届けです。
今回ご紹介するベーシストは、
「 櫻井哲夫 」
さんです。
フュージョンバンド「カシオペア」の初代ベーシスト。
その後、ユニット、ソロ活動、自身のバンドなどで幅広く活躍。
日本を代表するスラップ・ベーシストの一人
櫻井哲夫氏はフュージョンバンド「カシオペア」の初代ベーシストとして知られており、1976年にGuの野呂一生さんとバンド結成後、〜1989年までのおよそ13年間、カシオペヤのベーシストとしてプレイします。
その後、Dr.の神保彰氏とメンバーを脱退後、神保彰氏と中心になったユニットや、ソロ活動、自身のバンド活動など幅広く活躍。ご自身のキャリアでは世界約20ヶ国で公演しており、日本を代表するスラップ・ベーシストの一人と言えます。
おすすめ曲・フレーズ紹介
それでは、おすすめの曲やフレーズのご紹介です。
■ Domino Line(カシオペア)
自身のスラップ教則DVDでも例として引き合いに出している、カシオペアの人気曲。2:40周辺からのベース・ソロ演奏では、腕を大きくふりかぶって若き日のルイス・ジョンソンばりのパワフルな演奏をしています。
■ GURU GURU LABYRINTH(櫻井哲夫&神保彰)
「手数王」Dr.神保彰氏とのベース&ドラムによるセッション。複雑なリズムで、粒のそろった速いスラップによるバリエーション豊かな演奏を見ることができます。
■ 自身の教則ビデオの1シーン
今はおそらく手に入れるのが困難であろう教則ビデオの1シーンから。これ、「Ex7」って表示されてるんですが、1分半の演奏をすべて「1つの課題フレーズ」として捉えていいんでしょうか(困惑) ハンマリングやゴーストノートを活用した高度な技術を間近な映像で見ることができます。
■ Brain Storm(櫻井哲夫)
自身の最高スピードに挑戦したという曲。嵐のようなスラップから始まるプログレのような曲です。4:46からは、何というか物理的にハイスピードなスラップ奏法から始まり、その後はエフェクターで変化をつけながら和音をかき鳴らしたり弦を上から叩いて響かせたりと激しいパフォーマンス。超絶テクニックを存分に見ることができます。
「技の総合商社」とよく例えられる高度な技術とスラップの教科書に載ってしかるべきオールラウンドな演奏スタイル
櫻井哲夫さんというと、スラップベース奏法の教則本などには必ず名前が記載される名プレイヤーなのですが、
実は、櫻井哲夫さんについて書く際に、「どんなプレイヤーか?」を言葉で表現するのに困っています。
「超高速スラップ・マシーン?
超絶手数スラッパー?いや、何か違う表現は・・・」
超高速なフレーズを見ることもできるのですが、どのテクニックについても長けていて、速いフレーズや難解なリズムを安定して弾きこなす高度な技術と、フュージョン、ジャズ、ロックなビートも対応するオールラウンドな演奏スタイルを持ち合わせています。
逆に、彼を何と表現したらよいか、筆が進まなくなってしまいます。(笑)
しかし、よく云われている表現としては
・「技の総合商社」
・「技のデパート」といった例えです。
なるほど、そのプレイを見れば、誰もが納得するであろう表現かと思います。
まだプレイを見聞きしたことが無いあなたは、一度ぜひ演奏をごらんください。
多弦(5弦、6弦)ベースを使用。振り抜きスタイルのスラップ奏法。
奇をてらったものでなく純粋に高度な技術
先ほど「スラップベースの教科書に載ってしかるべき」
という表現をしましたが、それは彼のスラップベースの演奏スタイルからも言えるものと考えています。
これまでの「スラップ名鑑」の連載でご紹介してきた数々の個性的なスラップベーシストさんがいましたが、それに比較すると櫻井哲夫さんは、
極端にベースを●●に構えているとか、
極端に●●が偏っているとか、
そういった見た目上に突飛なスタイルではないように見受けます。
スラップ奏法のスタイルは、腰より高い位置にベースを構え、親指で弦を打って振り抜いて指板に押し付けるタイプの「振り抜きスタイル」のスラップ奏法。
しかしバンド内でボトムを支える安定かつ躍動感のあるグルーヴや、往復サムピングによる高速フレーズのプレイや、ハンマリングやタッピングなどを利用した手数の多いフレーズ、ハイポジションでのメロディ感のあるフレーズ、また複雑なリズムで自在弾きこなすタイム感・リズム感など、
どれを取っても高度な技術を見ることができます。
また、バンド内でのソロ演奏などを見ると、ルイス・ジョンソンばりに躍動感のあるパワープレイもしており、力強さも持ち合わせています。
そういった意味で、奇をてらった技術ではなく、全てにおいて基本技術を洗練していった結果、
スーパーテクニックに昇華したものなのではないかと僕は感じます。
あとがき 〜基本を洗練し昇華させるとスーパーテクニックに〜
今回の特集、いかがだったでしょうか。
前述のように、僕の櫻井哲夫さんに対する印象だと、「奇抜なスタイルではなく、純粋に高度なテクニック」
と表現しましたが、それは彼が基本的な演奏技術を洗練していった結果、それらがスーパーテクニックに昇華したのではないかと感じます。(あくまで推測ですが)
つまり、プロレスのような特定の必殺技ではなく、基本的なパンチやキックといった技術を洗練していった結果、一撃必殺の武器になった・・というような例えに納まるでしょうか。
スラップ奏法というと、奇抜な技や奇抜なスタイルが目立つのですが、僕自身も、基本の基本である「サム」と「プル」「ゴースト」など、(加えてリズム感、タイム感、音の響かせ方など)これらをしっかりと洗練していくことで、やがて強烈な武器になっていくのではないかと思います。基本を鍛えて強くする姿勢をあらためて持とうと思った次第です。
ご意見・ご感想ありましたら、コメント欄にお書きください。
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